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金太郎ゆかりの渓
かつては台風で壊滅した渓
雨が降っていた。鉛色の空から絶え間なく落ちてくる雨粒に、渓全体が濡れていた。
5月下旬。梅雨前線が上空に停滞し、梅雨の長雨に煙る大沢川で黙々と竿を振る。
大沢川――。
金時山(1213b)を源とする大沢川は常に安定した水位を保つ。
足柄の豊かな自然の中を流れ、雨降りでも濁ることのない清らかな渓水を鮎沢川に注ぎ込む。小渓だが変化に富む。
昭和54年に台風20号の被害を受け、壊滅的だった大沢川だが、その後地元の漁協の努力で今では被害の断片すらなく復活している。
上流に遊女の滝を控え、金太郎伝説の発祥の地としても知られる。


雨の大沢川


都心から約1時間という好立地にありながら、釣り人を見かけないのは、近くに有名な丹沢がある所為なのかもしれない。丹沢湖のバックウォーターには、玄倉川、河内川、世附川と、流程のある川が3本控えている。どの川も支流が多く、ヤマメが生息している。
釣り人は、そちらに流れて行ってしまうのだろう。
私の貴重な穴場的存在となっている。


遊女の滝
   足柄の自然に包まれてゆっくりまぶたを閉じてみる。
   目の前に広がっていた景色が身体中に染みわたっていく。
   耳に届くのは雨とせせらぎの音。
   じっと耳をすませばヤマメたちのささやきが聞こえる。


人家のなくなる辺りから竿を出す。
雨のおかげで釣りに身が入らない。適当に竿を出して堰堤の下だけジックリとネバって、18〜20センチ程度のヤマメを数匹釣ったが、型が今ひとつなので1尾だけキープして後は全て流れに返した。
渓の左脇を走る林道は途中から大きく左にカーブし、一度渓を離れて上流の遊女の滝付近でまた渓の左を沿うように走る。
林道から遊女の滝までは簡易的な階段があるので、とにかく遊女の滝まで釣ってその階段で林道に出ようと決めた。
雨は降り続き、止む気配がない。森閑とした大沢川に雨音だけが響く。


堰堤を4・5基高巻いて、ようやく遊女の滝に着いた。
正午前だったが雨足が強まったので、竿をたたんで林道に出た。
林道をトボトボ歩いて車に向かう。地図によると、足柄峠へ抜けられるようだが、一台の車ともすれ違わなかった。
雨足が更に強まり、葉に打ち付ける雨音だけが林道に響いていた。


           
遊女の滝


 金太郎ゆかりの滝 〜遊女の滝〜

             この滝の名を「遊女の滝」といいます
             ある日金時山の頂きで寝ていた
            八重桐は夢の中で赤龍と結ば
            れました この時八重桐のお腹
            に宿ったのが金太郎です
             八重桐は山をおりるとこの滝
            に身を打たせ産まれてくる金太
            郎の健康を祈願しました
             八重桐が滝に打たれている姿を
            見た里人はその後この滝の名を
            遊女の滝と呼ぶようになりました

                                    遊女の滝立て札より


2001年5月下旬


大沢川のヤマメ
林道脇の花 雨にも負けず逞しく咲いていた
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